ORGANIC VEGE.

長崎県大村地区。
真夏のようにジリジリと照りつける日差しの中、この日訪れた畑は、とにかく「豊かさ」に満ちていた。
大村湾を望む高台で山口さんご夫婦が育てるイタリア、フランスを中心としたバラエティに飛んだ野菜畑は、「雑草も土を豊かにする虫たちの大事な栄養」と、草刈りをせずほぼ自然の状態。どれが野菜なのか分からないウネも沢山ある。よーく見ると、雑草の中で可愛いサヤのひよこ豆や鮮やかななチコリやラディキオの花が咲いている。この畑で収穫される野菜は無農薬はもちろんのこと、肥料さえ与えていないのだそう。

“オーガニック野菜”

思わずダブルコーテーションマーク ” ” をつけたくなってしまうことも多々あるが、今回長崎で出会えた農家さんたちは、そんな言葉に惑わされることなく肩の力もぬけ、これが正しい方法だからと夫々の信念をただ貫いていた。
それでどんなに手間と時間を費やすことになろうとも。

次は細い山道を抜けた先に広がる、「日本昔ばなし」そのままの里山の風景の中にある畑と果樹園。
田んぼの中の一本道を走ってきた軽トラから降りた日に焼けた笑顔の一瀬さん。 「まだ餌をあげてないんだよ、ちょっと待ってて」と、真っ先に向かった丘の上の小屋には、気配を察したニワトリたちが喜んで羽をバタバタさせていた。もみ殻や米ぬかなどを混ぜた発酵飼料はヨーグルトのような酸味香がして、触ると発酵熱で温かい。「ほらっ!」と、手渡されたニワトリ(生まれて初めて持った!)は予想以上にずっしりと、でも羽は柔らかくて匂いもない。
一瀬さんの畑も無農薬と無堆肥。堆肥を使わないのは、糞をするその動物が何を食べているか分からないから信用できないため。防虫目的で畑に植えたマリーゴールドは今ひとつ効果無し、と言いつつも「まぁ畑仕事をしながら花を眺めるのも悪くないよ」と笑っていた。
とは言え、農薬を使っていないのにズッキーニの大きな葉は立派でピカピカ、かぼちゃは深く美しい緑色だった。

次に訪れたのは、農家でアルバイトをしている時に死んだ土を見て「何とかしたい」と、数年前に無農薬、無肥料栽培を始めた福島さんのハジメファーム。ほとんど草刈りをせずに自然のままで育てているのは、デストロイヤーと呼ばれる赤いジャガイモ。目の出る部分が脱色してマスクのように見えるためにそう呼ばれているのだそう。 ぷぷぷ…
こちらの畑も小高い丘の上にあり、周囲の里山の風景を眺めているだけで豊かな気持ちになる。山から滔々と流れる雪解け水の音と共に聞こえるのは鳥のさえずりだけ。

外食を好んでするのだから、必要以上にストイックにはなりたくはない。
でも、食を提供する側にたって仕事をしている以上、可能な限り安全な素材を選びたいし、安全な食の知識と素材のもつ本当の美味しさは知っていたいと思う。そして、本当の「豊かさ」の意味も。